賀茂神社


(福岡市早良区賀茂)

付近の地名の由来となっている神社。ナマズにまつわる伝承があり、福岡市地下鉄七隈線賀茂駅のシンボルマークもなまずになっています。

橋の欄干にもなまずのデザイン。

金屑川と貞島川の支流の合流地点のほとりにあります。

なまず伝説の謂れを解説するモニュメントもありました。内容は本殿の御由緒からの転載してあります。

こちらも愛嬌のある鯰さん。名前とか付けてキャラ化するといいのに。

賀茂神社由緒

当社は京都賀茂神社の分霊社として創設され

その建立年は詳ではないが境内より平安時代の瓦が出土したことにより

その以前の建立であると認めることができる

尚、昔から身体に白い斑点のでるナマズの平癒祈願の神様として遠近より参拝者が多い

(賀茂神社由緒より)

皮膚疾患の白斑、いわゆる白癜(しろなまず)の治癒祈願で篤い信仰を集めていたのですね。

昔は付近一帯を免の里と呼んでいたそうで、境内には免の里の記念碑もあります。

免の里

往時 免の地は 早良六郷の能解郷に属していたが、明治二十二年町村制施行により 早良郡田隈村大字免と改められた。
人情こまやか 勤勉・誠実 郷土を愛した祖先は、営々と稲麦作中心の農耕生産にいそしんで来た。また明治年間より昭和初期にかけて、養蚕業が盛んに行われ、蚕室や母屋を飼育場とした農村風景が多く見られたものである。尚遠く弥生・古墳時代の農業・水利施設を立証する鶴町遺跡も発掘された。
昭和二十九年福岡市に合併 当時戸数八四戸 四十九年福岡市賀茂小学校が開校され、五十七年十一月町界町名改正により賀茂となる。

昭和六十二年三月十五日
建設委員会

賀茂神社境内 免の里記念碑より

賀茂神社の鯰伝説に詳しいHP(ただし、HP中のバナーがなぜか”うなぎ伝説”になっちゃってますね…。

https://www5b.biglobe.ne.jp/~ms-koga/01-01a.chinjyu-kamo_unagi.html

明るい陽が差し込む本殿

訪れた際には完全に見落としていたのですが、本殿の右側の由緒書きの上をよ~く見ると、なまず絵が奉納されていることがわかります。下記のリンク先のHPに白黒なまずの絵馬にズームインした画像あり。賀茂神社のお参りを楽しまれています。

なまずといえば、地震を予知するとか何かと神格化されお祀りされたりしていますが、この賀茂神社の鯰の絵馬、鯰絵は古文書により日付が確認された日本最古のものなのだとか。1821年らしいので、江戸時代は化政文化のころ。文政4年。思わぬところにひっそりと、日本最古がかくれていたのね。

https://www.nishinippon.co.jp/image/97133/

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/749520/

毎年9月15日には灯明祭が地元の氏子さん、もとの免の里の人々によって開催されています。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/sawaraku/sawaraku-tamatebako/kankou/kamo.html

賀茂神社の千灯明

毎年9月15日の夜、賀茂神社で菜種油を入れた小皿を並べ、千の灯をともし無病息災を祈ります。境内に並べられた灯明が静かに揺らぎ、境内は神秘的な雰囲気に包まれます。
 賀茂神社はナマズを神様として祀っています。言い伝えでは江戸時代、享保の大飢饉の際に氏子たちが「災難が二度と起きないように」と祈願すると夢枕にナマズが現れ「ナマズを殺して食べないように」とお告げがあったそうです。

福岡市 観光案内HP 早良区彩食健美の玉手箱より

なまずの神様の御告げに従ってなまずを大事にお祀りし護られている里。それが今の賀茂一帯にあった免の里なのですね。

賀茂神社

一、祭神

分雷命 わけいかづちのみこと

玉依姫命 たまよりひめのみこと

天児屋根命 あめのこやねのみこと

一、由緒

当社は京都賀茂神社の分霊社として創設され その建立年は詳ではないが

境内より平安時代の瓦を出土したことにより その以前の建立であると認めることができる

尚昔から身体に白い斑点のでるナマズの平癒祈願の神様として遠近よりの参拝者が多い

一、境内の祭神
 十六天神様
 天神様
 水神様
 庚申様
 御大日様

一、祭祀と行事
 一月一日 歳旦祭
 四月十六日 五穀豊穣祈願祭 十六天神祭
 七月二十五日 夏祭(虫追祭)
 九月十五日 千灯明祭
 十月十五日 御注連おろし祭(おくんち)
 十二月十六日 新穀感謝祭

本殿由緒書きより

ここでものすごく要らんことをおもいつく。この賀茂神社の氏子さんたち、平安時代から鯰を大切にしてきたであろうと推察されますが、令和の御代のこの時代。知らないうちに鯰食べちゃってることもあるよなぁと…。

外食で出てくる白身魚、美味なんですが実は結構な割合でナマズ(パンガシウスとかバサと呼ばれている。)が含まれているんですよね…。他はタラやメルルーサといった深海魚か、ナイルパーチ(淡水スズキ)。

もともとナマズって肉食で成長も早く、あっさりとした白身でおいしくて昔から貴重なたんぱく源だったはずで、アメリカのミシシッピ川周辺ではナマズのフライが名物料理だったり。ええ、ええ。うまいんですよ、ナマズって。

貴重なたんぱく源であるナマズを食べるのを絶ってでも、疫病退散の願いを立てる。真摯な住民の想いが浮かびあがってきます。

その一方で、”ナマズを大事にして、殺して食べないよ!”と誓っても、今の食糧事情はなかなかにむつかしいんだろうなと野暮な思いを馳せざるを得ないのでした。。

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